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 Schneider Xenon (fat) 50mm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:Schneider
設計者:不明
製造番号:1917622
製造年:1947年
レンズ構成:5群6枚 ゾナー分離型
(または変形エルノスター型)
重量:340g
最小絞り値:f16
絞り枚数:10枚
最短距離:80cm
マウント:ライカスクリューマウント

Lens Impression

戦中から戦後にわずかに出荷された記録があるが、それ以外の情報が全くない正体不明のレンズである。

ダルマ・クセノンやfat Xenonという呼び方もされるずんぐりとした形状であるが、レンズ本体は重量感および高級感が感じられる手の込んだ作りであり、ライカに装着すると非常に一体感を感じさせる。一部の情報では、この不可思議なレンズは英国か米国の愛好家グループ(富裕層)からの特別な注文で同じデザインの80mmf2などとセット販売されたというものがあるが、それも肯ける。しかし、たとえそのような特別なものであっても、なぜ本来のクセノンのレンズ構成である変形ダブルガウス型ではなく、このようなゾナー分離型にしたのかまではわからない。

Hartmut Thieleのリストによると、1941年に2本の記録(177万番台)があるが、戦争のためか、その次の記録は1946年の12本(182万番台)、4本(183万番台)、64本(183万番台)、1947年に35本(191万番台)、1948年に50本(193万番台)、62本(196万番台)とのみ記載されており、非常に生産数が少ないレンズである。

このレンズの最大の特徴は、そのレンズ構成である。
クセノン f1.5というとトロニエ設計の変形ダブルガウス型の代表的なレンズとして有名であるが、この謎のレンズは5群6枚のゾナー分離型(または変形エルノスター型)とも言える形式である。3群7枚という貼り合わせを多用した反射面の少ない構成で驚かせたゾナー f1.5の第2群の3枚貼り合わせレンズの中央部を空気レンズに置き換えた設計であると考えられる。もしくは4群4枚のエルノスター基本構成の最後群の1枚をゾナー f1.5の最後群に置き換えたという見方もできる。
いずれもベルテレの設計がベースとなっているが、トロニエはシュナイダー社を去る1936年に、このレンズに関連のあると思しき特許を2つ申請している。(GB476,349、US2,106,077)

GB476,349のレンズ構成は終戦後1945年のRobot IIa用クセノン 40mmf1.9として供給されており、時期的にこのレンズと合致する。次第にコーティング技術は進化を遂げつつあり、当時のシュナイダー社内部で、ガラス反射面の増加があったとしても、ゾナー分離型とすることによって、空気レンズを活用した屈折面の増加を図り、諸収差補正をより強化するメリットがより評価され、小型カメラへの活用が図られたものと考えられる。
US2,106,077の特許は想定されるこのダルマ・クセノンレンズの構成とかなり近いものであるが、トロニエはこの特許の申請後ISCO社に移籍しており、大戦終戦前にはさらにフォクトレンダー社に移っていることから、このレンズの設計にこの特許が利用されたかどうかは不明である。
いずれにせよ、戦前から空気レンズの効果を積極的に評価し、それを活用しようとした同社および、トロニエはじめ設計陣の積極性は高く評価されるべきであろう。


 Photos with Xenon (fat) 50mm
 
2017
Yanaka、Nishiarai

(谷中、西新井)

天気のあまりよくない平日の谷中の裏道ばかりをフラフラしたので、人の写っていない写真ばかりになってしまいました。
線路わきにあるラクダが並ぶ児童公園は標準レンズのボケの確認によく使うところです。今回は一絞り絞って撮影しましたが、ボケに大きな癖はないですね。

西新井大師の参道脇にあるかどやは今や一種の文化遺産ですね。コロナに負けずに頑張り続けて欲しいものです。


2017
Yokohama

(横浜)
横浜山手の洋館にはクリスマス時期に行くことが多いのですが、今回初めて3月初旬に行きました。予想はしていましたが、雛人形に春らしい花が心まで明るくしてくれます。山の上は人通りもまばらでしたが、中華街に出るとやなりにぎやかでした。しかしまだまだ寒い時期なので、これでも夏に比べればかなり人出は少ないのでしょう。

このレンズは純正のライカマウントですが、遠距離にピント合わせをすると、フルサイズでは周辺が少しだけ欠けます。こういう部分にも、このレンズが元来ライカ用に大量生産を前提にした物ではなく、スペシャルな企画ものである可能性を感じさせます。